達磨さま
皆様になじみの深いだるまさんには、「第二十八代菩提達磨大和尚」というモデルがいます。
この「達磨(だるま)さま」とはどのような人物だったのでしょうか。
仏教は紀元前5世紀お釈迦様によって開かれました。仏教はインドが発祥の地です。時がたち達磨さまも紀元4世紀南インドの人物ですが、達磨さまはインドから中国に渡り禅を広めたことが禅宗の転機となりました。
もともと達磨さまは南インドの第三王子でした。ある時、父王の招いた般若多羅尊者の説法を聞きます。「この世で一番尊いものは何でしょう。」という尊者の問いに長兄、次兄の2人は「父王の大切にしている宝玉です。」と答えました。しかし、達磨さまは「宝玉は立派であっても光がなければほかを照らすことはできません。人々が生まれながらに持っている仏心こそ最も尊いものです。」と答えました。
この答えを聴いて尊者は達磨さまの力量を認め、達磨さまは般若多羅尊者の弟子となりました。般若多羅尊者はお釈迦さまの二十七代目の弟子であり達磨さまは二十八代目となりました。達磨さまは尊者の下で数十年禅宗についての教えを乞い、武帝が治める梁(中国の王朝)の国に広めました。長年の修行の末、中国禅宗の始祖と言われるようになりました。その後も弟子たちによって教えは広まりました。
曹洞宗のお寺では、禅を伝えた達磨大師を偉大な祖師としてまつり、ご命日である10月5日に達磨忌として報恩の供養が営まれます。
達磨さまは大切なことは「以心伝心(いしんでんしん)、不立文字(ふりゅうもんじ)」だと最後の法話をしました。正しい心を相手の心に伝え、ことばや理屈で法(教え)を伝えるようなことはしないということです。
形ある宝玉と違い、仏心は目に見えないものであるからこそ大切であり、表現することは難しいことだと思います。皆様なら日常生活でどのように実践しようと考えますか。
これからもだるまさんは、日本人にもなじみ深く、人々の心の中に生き続けていくことでしょう。